アシスタントナース(Assistant in Nursing / AIN)は、正看護師・准看護師の指示のもとで患者ケアを支えるポジションで、オーストラリアの医療・介護の現場で欠かせない存在です。日本では「看護助手」や「ヘルパー」と呼ばれることが多いですが、オーストラリアではより実践的かつ専門性の高いケアを担う職種として認識されています。医療の質を支える基礎的ケアを担い、患者の生活を支える最前線に立つ仕事と言えるでしょう。
アシスタントナースの定義と医療現場での位置づけ
アシスタントナースとは、看護師(Registered Nurse / Enrolled Nurse)の補助として、患者の生活支援・基本的ケア・バイタルチェックなど、医療と生活の橋渡しとなるケアを行う職種です。
医療現場での位置づけは以下のように整理できます:
- Registered Nurse(正看護師)
医療判断・投薬管理・ケアプラン作成など高度な医療行為を担当。 - Enrolled Nurse(准看護師)
正看護師の指示のもと、より専門度の高いケアや処置を担当。 - Assistant in Nursing(アシスタントナース)
生活支援、衛生管理、観察、看護師のサポートなど基礎ケアを担当。
特にオーストラリアでは、アシスタントナースが患者ケアの中心に入り、バイタル測定・記録・状態観察など医療寄りの業務も担うため、看護助手よりさらに専門性が高いとされています。
看護師・看護助手との違い
アシスタントナースは「看護師ではない」ものの、単なる補助スタッフでもありません。
日本とオーストラリアでは役割の深さが異なります。
日本の看護助手との違い
| 項目 | 看護助手(日本) | アシスタントナース(豪州) |
|---|---|---|
| 教育・資格 | 基本的に無資格でも可 | Certificate IIIなど専門資格必須 |
| 業務範囲 | 環境整備・検査出し・物品整理が中心 | 生活支援+バイタルチェック+観察記録 |
| 医療寄り業務 | 基本的にない | 看護師の指示のもと対応範囲が広い |
看護師との違い
看護師は医療判断や専門的処置が可能ですが、アシスタントナースはあくまでサポート役。
しかし、患者と一番近くにいるため、状態変化の早期発見において重要な役割を担います。
アシスタントナースに求められるちょっと医療寄り業務例
- バイタルサイン(血圧・脈・SpO2)の測定
- 医療記録の入力
- 看護師指示下での簡易処置補助
- 服薬介助(施設によって可能)※基本的に資格が必要
業務内容例
- 食事・排泄・入浴介助
- 移乗・歩行介助
- 生活支援(洗濯、掃除など)※ホームケアなど
1日の具体的なスケジュールと実際の業務内容
アシスタントナースの1日は、患者の生活と医療ケアの両方を支える内容で構成されます。
以下は一般的な病院での勤務例です。
1日のスケジュール例(モーニングシフト)
07:00|出勤・申し送り
- 夜勤スタッフから患者の状態変化を共有
- 看護師の部屋割りを確認し、行動計画を立てる
07:30|起床介助・朝のケア
- 洗顔・整容・トイレ介助
- ベッドメイキング
- 食事介助
- 体調の観察
08:30|清潔ケア
- シャワー介助
- 清拭
- 着替え
- 看護師と一緒に皮膚状態の観察
09:30|モーニングティー
- モーニングティーと呼ばれるおやつの時間
- キッチンスタッフが病室をまわる
- その間にスタッフも10~15分の休憩を交代でとる
- 午前中のリハビリの時間
11:30|バイタルサイン・血糖測定
- 必要であればバイタルサインの測定
- 昼食前血糖値の測定
- 記録
12:00|昼食介助
- 食事介助
- Food chartやIn our chartがある場合は食事量・水分量を記載
13:00|スタッフ休憩
- この時間、というのは決まってないけれど交代で30分の休憩をとる
- 午後のリハビリの時間が始まる
14:00|アフタヌーンシフト開始
- モーニングシフトの看護師がアフタヌーンシフトのスタッフ全員に申し送り
- ひたすらナースコール対応
14:30|退勤
このようにアシスタントナースは身の回りの介助が多く患者と最も長く接するため、「小さな変化に気づく」ことが最も重要なスキルとされています。
アセスメントをする役割はないけれど「いつもとなんか違うかも?」に気づけるだけで防げることがいっぱいあると思います。
日本で看護師をやっていた方には物足りないこともあると思いますが、やりがいのあるお仕事です。


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