看護師になるには

看護師になるには

オーストラリアで正看護師(Registered Nurse: RN)として働くためには、学歴や英語力、実務経験など、個々の状況に応じた適切な要件を満たす必要があります。以下に、学歴別の進路や必要な手続きをまとめました。


目次

オーストラリアの看護師資格の種類

職種説明
🩺 正看護師(Registered Nurse: RN)患者評価、処置、健康教育、看護計画の立案・実施など、広範囲な看護ケアを提供。
🧑‍⚕️ 准看護師(Enrolled Nurse: EN)RNの指示・監督のもとで限定的なケアを担当。
👩‍🦳 アシスタントナース(AIN)健康チェックや生活支援など、基礎的ケアを担当。


オーストラリアでの看護師登録に必要な条件

  • 学歴:Bachelor of Nursing(看護学士号)
  • 英語力(下記いずれか1つの試験で下記スコア以上)

2020年7月1日以降英語コースを修了することでIELTS免除での入学が可能だった制度(いわゆる「ダイレクトエントリー」)は、完全に廃止されました。よって英語学校に通ったか同課に関係なく、必ず英語のテストで基準を満たす必要があります。

試験スコア要件
IELTS AcademicOverall 7.0、各セクション7.0(Writingは6.5可)
OETB以上(WritingはC+可)
TOEFL iBT総合94点(各24点以上、Speakingのみ23点)
PTE AcademicOverall 66、各セクション66以上(Speakingのみ56可)
CambridgeOverall 185、Writingのみ173以上
  • オーストラリア看護師・助産師資格認定協会(AHPRA)の認定・登録

しかし、AHPRA指定の条件を満たしており、海外の4年制大学を卒業している場合はOBAと呼ばれる審査をクリアすることで看護師登録できるケースもあります。(詳しくは次の項の3.学歴別:正看護師になるルート 日本の大学で看護学部を卒業し、正看護師資格を保有している場合を参照ください)

学歴別:正看護師になるルート

必要な英語力のレベルについては2.オーストラリアでの看護師登録に必要な条件を参照してください。

日本での最終学歴必要なコース期間
高卒3~4年
短大・専門卒(看護以外)3~4年
短大・専門卒(看護師コース+免許)最短1~2年
大卒(看護以外)最短2年
大卒(看護師コース+免許)実務コース終了後、免許切替可能

・日本の大学で看護学部を卒業し、正看護師資格を保有している場合

 OBA(Outcome-Based Assessment)ルートでRN登録が可能

要件

  • 英語力試験をパス
  • 過去5年以内に3ヶ月以上の看護実務経験(推奨)
  • 日本で4年制大学を卒業し正看護師資格を取得

手続き

  1. AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)に必要書類を提出
  2. 知識テスト(Multiple-choice questions)と実技試験(Objective Structured Clinical Examination)に合格
  3. AHPRA主催のオリエンテーションプログラムに参加
  4. 正看護師として登録

2. 日本の短大や専門学校で看護学を修了し、正看護師資格を保有している場合

進路

  • オーストラリアの大学で1〜2年の看護学コンバージョンコースを修了し、学士号を取得
  • その後、正看護師として登録※卒業から時間が経過している場合、3年の通常コースが必要となることがあります。

3. 日本の大学で看護学以外の学士号を取得している場合

進路

  • オーストラリアの大学で2年程度の看護学学士コース(Graduate Entry)を修了
  • 一部の大学では、修士コースへの進学も可能
  • 修了後、正看護師として登録

4. 日本の高校を卒業している場合

進路

  • ファウンデーションコースまたはディプロマコースを経て、3年の看護学学士コースに進学
  • 学士号取得後、正看護師として登録

就労ビザと永住権

  • RNは移民局の不足職業リスト(SOL)に登録されており、条件をみたせば永住ビザの対象となります。

アシスタントナース(AIN)から始める道

医療未経験者や英語力を伸ばしたい方は、約6か月の職業訓練コース(TAFEなど)でAIN資格を取得可能です。

実務経験を積みながら、看護学位で進学することも可能です。

オーストラリアで看護師として働くメリット

  • 高い収入と待遇:平均年収 約76,000AUD
  • 専門職としての評価:医師と連携し、高度な医療に関与
  • 福利厚生の充実:有給、病欠、育休などが制度化
  • 永住権所得の可能性:キャリアとビザの両立が可能

まとめ:正看護師になるまでのステップ

  1. 英語力の証明
  2. 必要な看護学位を取得(日本もしくはオーストラリアで)
  3. AHPRAに申請・OBA合格(該当者のみ)
  4. 正看護師として(RN)として登録
  5. 就労ビザまたは永住権の申請
  6. 就職活動&キャリアスタート

補足:RPLとCredit Transfer

日本で看護師や介護職などの経験を積んできた方へ吉報です。

実は、日本での経験や学びを活かして、時間と費用を節約できる制度がオーストラリアにはあります。
それが 「RPL(Recognition of Prior Learning)」「Credit Transfer」という制度です。

RPL(Recognition of Prior Learning)とは?

RPLとは「過去の学習歴や職務経験の認定制度」のことです。
これまでの職務経験やボランティア、学校での実習などが、オーストラリアの資格取得に必要な一部の学習に相当すると認められれば、コースの一部が免除される可能性があります。

RPLの対象になり得る経験

  • 日本や他国での職務経験(例:看護師、介護職など)
  • ボランティア活動
  • 実習やプロジェクト経験(学校内外問わず)
  • スポーツや趣味を通して身につけたスキル
  • 資格がなくても、非公式な学習や実務経験

RPLのメリット

  • すでに知っている内容を繰り返し学ばなくて済む
  • コース期間が短縮され、学費も節約できる
  • 日本でのキャリアや努力がきちんと評価される

RPL申請の注意点

  • 経験を証明する書類(勤務証明、推薦状、職務記録など)が多数必要
  • 英訳が必要なため、やや手間がかかる
  • 教育機関によって、必要書類や審査基準が異なる
  • 経験が十分でも、評価されない場合もある

Credit Transferとは?

Credit Transfer(単位移行)は、すでに取得している資格や修了証をもとに、同じ内容の学習を新たに行わずに済む制度です。

例えば、オーストラリアで以前に取得したVET(職業教育訓練)資格や、他国での大学単位が、新たなコースの一部として認定されることがあります。

Credit Transferのメリット

  • 証明書を提出するだけで申請が可能
  • 手続きがシンプルで、RPLよりも費用や時間が少ない

RPLとCredit Transferの違い

比較項目RPLCredit Transfer
対象実務経験・スキル(非公式含む)すでに取得した資格・修了証
必要書類実務証明、ポートフォリオ、推薦状など成績証明書や卒業証書
手続きの手間多め(英訳が必要)少なめ(証明書のみ)
費用やや高めになることも比較的安価

活用例:日本の看護・介護経験をオーストラリアで活かす!

例えば、日本での看護師・介護士経験がある方が、Certificate III in Individual Support
Certificate IV in Ageing Support / Disability を受講する際、RPL制度を使って一部のユニットを免除されたり、内容の書き換えができることがあります。

これにより、

  • コース期間が短縮
  • 学費を削減
  • 就職や永住申請への道もスムーズに

という大きなメリットが得られます。


申請の流れ

  1. 希望する教育機関がRPLまたはCredit Transferを受け入れているか確認
  2. 公式ウェブサイトから申請フォーム・必要書類を取得
  3. 経験証明書・英訳・成績証明などを用意して提出
  4. 学校側の審査を受け、免除が認められればユニットが省略されます

例:TAFE NSW
https://www.tafensw.edu.au/study/enrol-apply/recognition-and-credit-transfer


まとめ

  • RPL は、過去の経験やスキルを正式な学習と見なしてコースの一部が免除される制度
  • Credit Transfer は、すでに取得した資格や単位を他のコースに移行できる制度
  • 時間とお金の節約につながり、キャリアアップへの近道になる
  • 日本での経験をオーストラリアで活かすための強い味方です!
Join us

メンバー登録について

Sign up

新規メンバー登録(無料)

メンバー登録で全記事の閲覧・コメントができます。また、最新の就職・イベント情報などもお届けする予定です。

*必須項目
Login

メンバーログイン

アカウントをお持ちの方はこちら。

   
目次